日本列島の成り立ち
現在の日本列島は、海に囲まれた島国で、地震や火山および台風などの自然災害の多い国です。それではなぜ、日本列島は地震や火山が多いのでしょうか?
1. プレートテクトニクス
地球は中心から、内核・外核、下部マントル・上部マントル、地殻という構造になっています。
このうち、地殻と上部マントルの一番上の部分は、「プレート」という板のような形をしたかたい岩盤となっています。
プレートの下にあるマントルは、お鍋の中のお湯のように対流という運動をしていて、上にあるプレートを少しずつ移動させています。
このように、プレートが移動するという考え方を、「プレートテクトニクス」といいます。
地球の表面は10数枚のプレートでできていて、陸のプレートと海のプレートの2種類があります。
海のプレートは重いので、軽い陸のプレートの下へ沈み込み、少しずつ動いています。
日本列島のまわりでは4枚のプレートがぶつかりあっていて、陸のプレートに海のプレートが沈み込んでいっています。この沈み込んでいるプレートの境界は、海溝(みぞのように細長くくぼんでいるところ)となっています。
4枚のプレートがぶつかりあうことで、日本列島にはさまざまな特別な力がはたらいています。この力のはたらきによって地震が起こり、火山ができます。
2. プレートの移動により起こること
1. 地震
海のプレートが陸のプレートに沈み込む時に大きな力がはたらくことで、地震が起こります。
●海溝型地震
海のプレートが沈み込むことにより、陸のプレートのはしっこが引きずり込まれ、100年ほどたつととうとうたえ切れなくなり、元の方へはね返って起こる地震です。
●内陸型地震(直下型地震)
海のプレートが動くことによって大きな力がはたらき、プレートの境界から少しはなれた陸のプレート内にずれ(活断層)ができて起こる地震です。
活断層とは?
④記憶に新しい鳥取県中部地震などのように、今までに地震の記録がなくても、地震を起こす活断層もあります。
2. 火山の噴火
日本には火山がたくさんあり、世界でも有数の火山国となっています。
火山とは、地下のマグマ(岩石がどろどろに溶けたもの)が噴出してつくられた山のことです。
●火山による災害
噴石:火口から吹き飛ばされた岩石など。このうち直径50cm以上の大きなものは噴火後すぐに落ちて、建物の屋根をこわし、人にも被害をあたえます。
火山灰:火口から吹き飛ばされたもののうち、非常に小さい粉のようになったもの。軽いので風によって遠くまで飛ばされ、広い範囲にわたる農作物被害や、時には飛行機のエンジントラブルを引き起こすこともあります。
火山ガス:放出された二酸化炭素、硫化水素などの気体。この中に含まれる有毒なガスを吸うと、健康被害が生じます。
火砕流:高温の火山灰や噴石・ガス・水蒸気などが一体となって流れるもの。森林などを焼きつくして埋没させ、その破壊力はすさまじいものです。
溶岩:マグマが高温の液体のまま火口から流れ出したもの。森林などを消失・埋没させますが、流れる速さは遅く、走って逃げることもできます。
泥流:噴石や火山灰が大雨などにより水を多く含むと起こる流れ。流れは速く、下流にある民家などに大きな被害をもたらします。
3. 浅い地盤と深い地盤:地震のゆれを予測する
前もって、地震が起きた時の地震のゆれの強さや伝わり方がわかっていれば、地震による被害の状況を予測することができ、地震防災計画を作る際の手助けとなります。 地震のゆれの強さや伝わり方を明らかにするには、地震が発生し、地震のゆれが伝わる場所の地盤についての情報が必要となります。
ボーリング調査や物理探査(地盤の調べ方 参照)によって明らかとなったことから、下の図のような地盤構造モデルを作り、コンピューターを使ってむずかしい計算をして、地震のゆれの強さなどを予測します。
①震源から遠くなると、地震のゆれは小さくなります。
②震源から遠くても、地盤がやわらかいとゆれは大きくなります。
【地下構造と地震のゆれの伝わり方】
地震が起こると、2種類の地震の波が発生します。一つは地面を伝わる波で、もう一つはP波とS波という地球の内部を伝わる波です。
地震の時に最初にガタガタと感じるたてゆれがP波で、その後にユサユサと感じる横ゆれがS波です。地震による被害は、P波の後に来る大きなゆれのS波によって起こります。
したがって、S波が伝わる速さをもとに下のように地盤を区分して、地盤構造モデルを作ります。
- 地震基盤:地震のゆれの強さが変わらず、震源からはなれるとゆれが一定の割合で小さくなっていく、とてもかたい地盤にあたります。
- 工学的基盤:地下深くなっていくにしたがって、圧力により岩石はかたくなっていきます。建物を支えるのに十分なかたさを持った地盤にあたります。
- 深い地盤構造:地震基盤より上で、工学的基盤までのややかたい地盤にあたります。
- 浅い地盤構造:工学的基盤より上で、地表までのやわらかい地盤にあたります。地盤沈下や地震の時に液状化が起こりやすい部分です。