豪雨による斜面(土砂)災害
斜面(土砂)災害と対策
山の斜面を土砂が移動することで起こる災害(斜面災害,土砂災害)には,以下のような種類に分けることができます
1)がけ崩れ(表層崩壊)
斜面表層の土砂や岩石が地中のある面を境にして崩れ落ちる現象のことです。比較的規模が小さいものの斜面が崩れ落ちる速度が非常に速い特徴があります。
2)土石流
土砂と水が混ざったものが急こう配の谷地形を一気に下流へ押し流されていく現象のことです。その流れの速さは自動車並みのスピード(時速20~40程度)と言われていて,すさまじい勢いで人家や畑を押し流していきます。
3)地すべり
斜面の土塊が非常にゆっくり動く現象のことで,動きの速い斜面崩壊とは区別されています。その速さは1日で数mm~数cmといった程度で人への被害はほとんど生じませんが,長い時間継続して動くので,日常生活への長期的影響が生ずることがあります.
【斜面災害の例】
※兵庫県HPより抜粋
なぜ斜面(土砂)災害が発生するの?
斜面(土砂)災害の発生原因の多くは,長雨や台風などによる集中豪雨などの大雨が原因で発生しています。
よく言われているのが,「1時間に20mm以上,または降り始めからの総雨量が100mm以上」という数字です。このような雨が降っている場合には斜面崩壊等の危険性が高まりますので要注意です。
また,地震等で地盤が緩んでいるところでは,上記に示した降雨量に満たなくても斜面崩壊を起こす可能性があります。
斜面(土砂)災害発生のサインは?
斜面(土砂)災害の発生原因には大雨や地震というキーワードを先に示しましたが,そのほかにも,いつも見ている斜面に以下に示すような現象がある場合には要注意です。
- がけから水が湧き出している。
- がけに亀裂が入る。
- 小石がバラバラと落ちてくる。
- がけ崩れ(斜面崩壊)
- 山鳴りがする。
- 雨が降っているのに川の水位が下がる
- 川の流れが濁っている。
- 土石流
- 地面がひび割れる,陥没する。
- 沢や井戸の水が濁る。
- 斜面から水が噴き出す。
- 地すべり
斜面(土砂)災害が発生しやすい場所は?
斜面災害は,斜面の傾斜角度やその土地の地質・地形条件などによってその土地が発生しやすいかどうかを判断することができます。それぞれの自治体がその地域で土砂災害のおそれのある場所を示したのが「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」です。またその中でも特に建築物に破損が生じ,住民に著しい危害を生じるおそれがある区域が「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」です。
双方とも,国土交通省や各自治体がホームページ等で公表しています。今自分たちが住んでいる場所はどんな場所なのかを確認しておくことが望まれます。
【各崩壊パターンにおける土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と特別警戒区域(レッドゾーン)】
※兵庫県HPより抜粋
斜面(土砂)災害への「対策」は?
斜面(土砂)災害の影響を最小限にするための対策は,各自治体を中心にいろいろと整備が進められております。
例えば,国土交通省のHPには,斜面(土砂)崩壊を防ぐために取られているさまざまな対策について示されています。
<がけ崩れ>
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土留柵工:
斜面に鋼製の杭を挿入し,表層土の崩壊を防止するとともに,地上部に柵を設置して土砂の下方への移動を防止します。
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法枠工:
斜面にコンクリートの枠を組み,その内部を植生等で被覆して斜面の風化や浸食を防ぎます。
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擁壁工:
斜面の下にコンクリートで擁壁を作り,斜面の崩壊を直接抑止します。
<土石流>
砂防えん堤:
渓流の上流部に砂防えん堤を作って土砂を貯め,土砂の下流への流出を抑制します。また,谷の出口に砂防えん堤を作り,発生した土石流を直接受けることが可能です。
写真は,平成11年6月に発生した広島県沿岸部の集中豪雨の際に,荒谷川中流部に設置されておりました砂防ダムにより,土石流や流木による被害を食い止めることができた例です。
<地すべり>
地すべりの対策には,大きく抑止工(地すべりを構造的に防ぐ)と抑制工(地すべりの元となる要因自身を除去や低減する)に分けることができます。