地形・地質の調べ方
関西の地盤がどのようになっているかは、「関西の地盤」を見てわかったよ。それでは、地盤は、どのようにして調べるの?
地形・地質の調べ方
①文献調査
今までに出された本や論文、図面などから、地形・地質や自然災害などの情報を集めます。
②地形調査
地形を山地・台地・低地などに区分したり、地形が人工的に変えられていないか、地すべりや活断層に特有な地形がないかなどを調べます。
地形図で調べる
地形図には、等高線(高さの同じところをつなげた線)やがけ記号などが書かれていて、地表のでこぼこを調べることができます。また、どのように使われているか(田、畑、…)、植生(広葉樹林、竹林、…)なども表されていて、より細かい地形を知ることもできます。
また、人工的に変えられたところのもともとの地形を知りたいときには、古地図(古い地形図)を使う場合もあります。
地形図は、国土地理院がつくっている縮尺2万5千分の1のものが、よく使われます。さらに細かく地形を調べたい場合は、各市町村がつくった2千5百分の1の地形図なども使います。
空中写真で調べる
飛行機などから地表を撮影したものを空中写真といいます。 空中写真を2枚並べて特殊なメガネで見ると、地表が立体的に浮かび上がって見えます。 これにより、地形の特徴をもとに地形を区分し、活断層や地すべりなどに関係する地形をみつけます。
地形区分図
*下地図は、国土地理院の2万5千分の1地形図「広根」・「伊丹」
上の図は、大阪府箕面市を通る活断層(有馬-高槻断層帯の一部)付近の地形を調べた結果を表しています。
五月丘断層は、山地と台地の境や山麓部を通り、山地側が上がっています。また、空中写真を見ると、谷が断層をはさんで、右横にずれているのもわかります。
坊島断層については、南側が少し上がっているように見えます。
この地域は現在では宅地化がすすんでいて、もとの地形が失われているところも多いですが、昔の地形図と見くらべることにより、もとの地形がどのようなものであったかを知ることができます(下の図)。
*下地図は、明治44年の古地形図「池田」
③地表地形地質踏査
実際に現地を歩いて、どんな地形をしているか、どんな岩石・土がどこに分布しているか、断層がどこにどのような状態であるかなどを調べます。
④物理探査
地震の波や重力などの物理現象を利用することによって、地盤のようすを調べる方法を、物理探査といいます。
反射法地震探査
震源車という特殊な車やダイナマイトによる発破などを使って地面に振動を与え、地下深くからはね返ってくるわずかなゆれ(地震の波)を、地上に置いた地震計でとらえて、地下の構造を調べます。
反射法地震探査により、堅田断層(琵琶湖西岸断層帯の一部)の活動によって、基盤岩やその上の地層にずれが生じていることがわかりました。
重力探査
同じものでも、はかる場所によって重さがちがいます。これは、場所によって、重力の値がわずかにちがっているからです。
重力探査は、この性質を利用しています。超精密なはかり(重力計)を使うと、はかったところの基盤岩の深さがわかります。
微動アレイ探査
地面は地震のない時でも、いつもわずかにゆれています。このわずかなゆれ(微動という)を小型の地震計でくわしくはかれば、地盤の物理的な性質がわかります。特に、基盤岩とその上にのる地層のS波の伝わる速さがわかります。
京都市による反射法地震探査などの物理探査により、京都盆地を囲む山地は基盤岩からできていて、盆地の底にある基盤岩は、巨椋池干拓地あたりで最も深くなっていることがわかりました。
⑤ボーリング調査
地面に孔をあけ、土や岩石の試料(ボーリングコアという)を取り、地層の重なり方などを調べます( ボーリング調査 参照)。
ボーリングコアは、目で見て特徴を調べます。また、ボーリングコアをくわしく見ると、火山灰や花粉などを見つけることができます。
これらの火山灰や花粉により、地層ができた年代を決めることができます( 地質分析 参照)。
⑥トレンチ調査
地盤を調べたい場所に、ショベルカーで大きな溝(トレンチ)を掘って、地面の下にある地層を出現させます。
トレンチの壁を観察し、より細かい地層のようす、活断層が地層に与えたずれなどの影響を調べます。
⑦地質分析
ボーリング調査やトレンチ調査によってみつかった火山灰や花粉などの試料を、特別な機械を使って調べます(地質分析 参照)。